こんにちは、沙耶です。引き寄せの法則というものをご存知でしょうか。簡単に言うと「望んだ世界を引き寄せることができる」という法則です。オカルトチックでにわかには信じ難いですが、実は引き寄せの法則には歴史的な根拠があるのです。というわけで、今回はオカルトの歴史から引き寄せの法則を見ていこうと思います。
宗教と科学の始まり
物質は何からできているのでしようか。今でこそ「原子」という答えがありますが、それが知られる前は想像するしかありませんでした。何も知らないのは不安です。地震や雷、洪水などの天災は突然起こります。なので人類は「世界を想像した神が怒っている」だとか、何かしら想像をして不安を抑えていました。これが宗教の始まりです。最初はただの想像ですが、人から人へ伝えられるにつれて納得のいきやすい寓話になっていきます。
古代のギリシャ、中国、インドなどでは寓話ではなく理論で説明しようという動きが出てきました。特に現在の科学の大元となった古代ギリシャ哲学では「火」「水」「数」など多くの説がありました。これは非科学的でしょうか。それは違います。
物質は「水」でできていると言ったタレスは、海から生物が生まれるようにすべてが水から生まれ、水に還ると考えました。これは現在の科学とは違いますが、「何か意思のあるものがやった」という思考から抜け出したという科学への第一歩です。
物質は「火」でできていると言ったヘラクレイトスは、「万物は流転する」、つまり仏教の諸行無常のような意味で「火」と言いました。もちろん現在の科学でも物質が化学変化して別の物質になります。
科学はオカルトへ
最終的には、「火」「水」「空気」「土」の4つの元素の比率によって物質の種類が変化するという考えが生まれ、紀元前4世紀から17世紀ごろまで主流の科学として信じられていました。この頃に生まれた科学こそが錬金術や占星術であり、今ではオカルトと呼ばれる範囲です。しかし人類史の中ではかなり長い間科学として信じられ続けた理論であり、部分的に間違っているにせよ人類に残したものははかり知れません。
ちなみに、第5の元素としてエーテルが考え出されました。人の霊魂を構成する元素であり、宇宙全体に充満しているとされます。光が波であると言われたとき、光はエーテルの波であるとも言われました。現代のオカルトでもエーテル体という言葉を聞きますね。
精神世界のはじまり
宗教から分かれて科学となった理論のうち、切り捨てられたものがオカルトとして残りました。しかし、オカルトはただの「過去の仮説」には留まりません。
1774年、メスメルという医者は患部に磁石を当てることで病気を治すことができることを発見しました。メスメルはこれを動物磁気と名付け、最終的にはメスメルの手を当てることでメスメル自身の動物磁気によって病気を治すということまで始めました。動物が自分で磁気を発生させるというのはにわかには信じ難いですが、同時期にカエルに電極を刺すと電気が流れる現象「動物電気」が発見されています。動物から電気が起こるなら磁気が起こることもあるかもしれません。しかし動物電気は電球を光らせることができるのですが、動物磁気では鉄を引き付けたりすることはできませんでした。
メスメルの死後、メスメルの方法を使って治療をしていたクインビーという人物は「この方法で病気が治ると思い込んでいると、それが間違った方法でも治る」という現象に気がつきます。いわゆるプラシーボ効果です。この現象をクインビーはキリスト教の観点から「正しい信仰をすることで病気が治る」という解釈をしました。この解釈が「意識を変えることで世界が変わる」という思想に繋がります。
ちなみにメスメルの方法は科学的には磁気の現象ではなく心理現象であることがわかっていて、今では催眠術と呼ばれています。
現代オカルティズム
クインビーの頃からオカルト界隈の発展が始まります。クインビーと同時期にインドに渡ったブラヴァツキー夫人は仏教の思想をキリスト教世界に持ち込み、近現代オカルティズムの根本とも言われる「神智学協会」を立ち上げました。そしてこの団体が始まることによってニューソートという新たな思想がヨーロッパに広まります。
ニューソートとは、「意識を変えることで世界が変わる」というクインビーの思想や仏教の「認識するものは世界と同一である」という思想などが結び付き、「意識によって宇宙を変えることができる」という思想になったものです。これは全知全能と言ってもいいものなので、それまでキリスト教で唯一無二で全知全能と考えられてきた神を脅かすことになります。また、キリストは神の力の一部を手に入れる方法である「魔術」を禁じています。そういうわけでニューソートは悪魔崇拝呼ばわりされたりします。しかしこの思想が広まっていることも事実で、引き寄せの法則もニューソートから生まれました。
タイムリープというオカルト
見てきたようにオカルトというのは様々な思想の上に成り立っています。なので別の体系から生まれた思想が混ざったり、否定された学説が入ったりします。しかし根拠がないというわけではなく、何かしらそう考える理由があるのです。もちろん「そんなことはあり得ない」と一蹴できます。しかし現代オカルティズムの根本の一つであるメスメルの正体が催眠術なのであれば、まずは受け入れてみるのが実践の第一歩なのではないかと思います。
意識によって宇宙を変えることができる。これは確かにそうかもしれない。ということはやはり宇宙というものは個人個人の心の中にあるということだろうか。そしてその個人が観測(認識)を始めることにより宇宙の在り方が確定する。宇宙というのは不変なものではない。それは常に動き続けているという意味ではなく観測者により形が変わるということなのだが、もしそうであれば過去を書き換え宇宙を再構築することも可能であるだろう。
問題は意識の変え方だ。自己暗示は有効かもしれない。ただ俺の考えでは意識ではなく無意識が宇宙に干渉しているのだろうと思っている。これは感覚的にしか分からないのだが、物事を認識する前に無意識が常に働いている感覚が俺にはある。それは本能や感情と似た何か。意識を起こす無意識というのが分かりやすいのだろうか。
何が言いたいのかというと、意識を変えるのではなく無意識を変えることが必要になってくるのではないかと思う。なぜなら、意識の根底には無意識があるからだ。先も述べたように無意識が宇宙に干渉する、つまり宇宙を構成する要素に無意識が入っているのではないかと俺は思っているからだ。意識を変えることは現宇宙の見方が変わるだけで根底の部分を変えることができないのではないか。確かに記憶を変えることはできるかもしれないが、あくまでそれは表層的なもの(辻褄が合わない、記憶違いなど)で物理的に起きた現象は変えることはできないと俺は推測する。
根底から宇宙を変える、つまり物理現象や法則すら超越するためには無意識を変えることが必要になってくるのだと思う。無意識を変えることは相当難しいだろう。そもそもこの場合の無意識は根底にある無意識で仏教でいう阿頼耶識的な位置であり、意識することで分かる無意識とは全く違う。そして意識できないものであるため、変わったかどうかも分からないと思う。いや、分からないはずだ。そして無意識は一度変えると、永続的に変わったままになる。なぜそうなるかというと根底部分が丸々変わるからだ。分かりやすく言えば、リンゴの木をナシの木に変えるようなものか。意識のみを変えるとリンゴが緑のリンゴになったりするだけでリンゴであることは変わらない。
俺の考えでは宇宙において、勝手に起こる現象を一つでも変えることができれば連鎖的に宇宙も変わるだろう。
感想:こういう記事はとても良いと思う。科学からオカルトへの足掛かりとなりやすい記事だと思う。オカルトを信じない、根拠もなくただ否定する人にとって良い記事となるだろう。