過去へ行く物質?

 こんにちは、沙耶です。反物質が未来から過去へ進む物質だという解釈も別の記事で紹介しました。物理学では他にも過去へ行く方法は考えられています。そこで今回は過去へ行くための物質を紹介したいと思います。

タキオンは虚数質量?

 地球からロケットが発射され、ずっと同じ方向に同じ速度vで進んでいったとします。そして、ロケットは地球から信号を受けると同じ信号を地球に返します。返された信号が地球に到着する時間が信号を発信する前になれば、過去に信号を送れたことになりますね。こんなことは起こるのでしょうか。

 特殊相対性理論で使われる座標変換であるローレンツ変換の式を変形すると、x=c^2t/v-c^2t’/vγという式になります。t’が一定とすると、dx/dt=c^2/vです。つまり、地球から見て速度c^2/vで動いていると、ロケットから見るとワープしているように見えます。ただしロケットが光速より遅いときc^2/vという速度は光速より速くなります。普通の物質はどんなに加速しても光速を越えることはできず、c^2/vを超えることができません。しかし、発生したときから光速を越えている分には問題ありません。これがタキオンと呼び、それに対して光速未満の普通の物質をターディオンと呼びます。タキオンをc^2/vの速度にして信号として使うと、発信より前に受信します。そんなタキオンは調べれば調べるほど不思議な性質があります。

 エネルギーはγmc^2で表されます。γ1/√(1-(v/c)^2)なので、速度が光速を越えるとγは虚数になります。虚数とはマイナスの数をルートした数です。エネルギーは虚数にならないので、タキオンの質量mは虚数になりますこれを踏まえた上でi=√(-1)としてタキオンのエネルギーを考えると、-imc^2/√((v/c)^2-1)となります。これは、速度が大きければ大きいほどエネルギーが小さいということです。物質はエネルギーが小さくなるように振る舞うので、タキオンは放っておくと速度が無限大になります。ターディオンは放っておくと速度が0に近づくので、タキオンとターディオンの速度の性質はちょうど真逆になっています。

 ターディオンの速度0とは、ずっと同じ位置にいるということです。一方、タキオンの速度無限とは、ずっと同じ時刻にいるということです。つまり、ターディオンとタキオンでは空間と時間が入れ替わっているとも言えます。私達にとって静止している状態でも、タキオンにとってはワープと同じなのです。

ブラックホールの真逆?

 タキオンを除いた物質の中で最も速いものは光です。その光も重力に引っ張られますが、光の速さでも抜け出せないほどの大きな重力のあるものがあります。それがブラックホールです。

過去の記事「過去から未来へ?未来から過去へ?」では、過去と未来を入れ替えても物理法則は変わらないということを紹介しました。ブラックホールも例外ではなく、全てを吸い込むブラックホールに対して全てを吐き出すホワイトホールというものが予想できます。そしてブラックホールに入ったものがホワイトホールから出ると考え、その間をワープするとしたものがワームホールです。もしワームホールが存在すればタイムトラベルができます。相対性理論によれば動いているものは時間が遅れるので、ホワイトホールを動かしてブラックホールに対して時間を遅らせます。時間の遅れが1日になればワームホールを通ると1日前になりますし、遅れが1年ならワームホールを通ると一年前になります。

 ブラックホールは天体の表面の抗力が重力に負けて圧縮されたものです。1度ブラックホールになると物質を吸い込むので、さらに重くなり重力が大きくなります。一方でホワイトホールはものを吐き出すので軽くなり、消えてしまいます。そもそもブラックホールとホワイトホールが本当に繋がっているのか、という問題もあります。

重さがマイナス?

 もしワームホールが存在したとしても、不安定なので消えてしまいます。その一因は、ワームホールは1周が360°以上になってしまうということです。ワームホールAとワームホールBを繋げたとします。Aの入口から入るとBの出口に繋がり、Bの出口の裏にあるBの入口から入るとAの入口の裏にあるAの出口に繋がります。つまりAの入口からBの出口に出てBを1周し、Bの入口からAの出口に出てAを1周すると元の位置に戻ります。よって1周が720°です。これをどう解決すればよいでしょうか。

 特殊相対性理論では、動いているものは空間が縮むのでした。なので、円盤を自転させると円周は円周方向へ動くことで縮みます。一方、直径は直径方向へは進まないので縮みません。なので、直径×円周率が円周より長くなります一般相対性理論は、慣性力重力は同じものとして扱います。慣性力とは車がブレーキをかけたときに車の中のものを前に引っ張る力です。何かに引っ張られたわけではありませんが、世界の(ここでは車の)動きによって起こる力です。遠心力も慣性力の一つです。つまり回転する円盤の上にいる人は、円盤の中心から外向きにかかる重力を感じているということです。この重力によって円周が短くなるなど空間の歪みという現象が起こると考えます。

 円周が短くなるというのは角度が360°より小さくなるとも言えます。重力は質量によって起こるので、質量があるときは1周の角度が小さくなります。そして、質量がマイナスのときは1周の角度が大きくなります。つまり、ワームホールのように1周の角度が360°より大きい状態を安定させるには、マイナスの質量を持つ物質が必要になります。

どうやったら見つかる?

タキオンやエキゾチック物質はどうやって探せばいいでしょうか。特にタキオンは常に超光速で飛んでいるので見つけることができなそうです。しかし、超光速だからこそ示す合図があります。チェレンコフ光です。光速が一定というのは真空中での話で、ガラスや水中などでは光速が遅くなります。チェレンコフ光はそんな光速が遅くなる場所などで見られる、光速を越えた物質が放つ光です。もし真空中で光速を越える物質があるなら、チェレンコフ光を放つはずなので一瞬光ったように見えるでしょう。

負の質量を持つエキゾチック物質は、万有引力により正の質量とおかしな作用をします。正の質量周りのものを引き付けますが、負の質量周りのものを退けます。よって二つが近くにあると、エネルギーをかけなくともひとりでに動き出し加速し続けます。よって気温に対して分子の動きが速い(気圧が高い)ことを観察することで負の質量が近くにあることが予想できます。

もちろん精度の高い測定装置が必要になるので個人では観測できませんし、これまで発見した人もいません。しかしこれから発見されないとも言えないので、これからの研究に期待です。

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