魔法の基本はプラトンから?

 こんにちは、沙耶です。Ag尊士さんの魔導書が発売されましたが、私は魔法についてよく分かっていません。そもそも魔法とか魔術という言葉がフィクションを含め様々な場合に使われていて、結局のところ何を指しているのか分かりづらいと思います。そこで魔法の起源を調べていたのですが、現代の魔法や魔術を語るには古代ギリシアの哲学者プラトンから始めるのが良さそうだとわかりました。すべての魔術がプラトンから始まるわけではありませんが、今回はプラトンの哲学とその派生を紹介しようと思います。

イデア論

 プラトンは「無知の知」で知られるソクラテスの弟子で、なぜ知らないことを探求できるのかについて考えました。もし知りたい対象のことを知らないのであれば、探求の方法も知らないはずです。それなのに探求できるのは生まれる前に既に知っていて生まれたときに忘れているからだとプラトンは考えました。この生まれる前に見ていた物事のことをイデアと呼びます。実は古代ギリシアにもオルフェウス教という輪廻転生の世界観のある宗教があり、プラトンが生まれる前について考えたのもオルフェウス教の輪廻転生の概念に影響されたのではと言われています。

 ここで重要なのは、生まれる前で肉体がないにも関わらず物事を知る自分が存在するということです。この自分を魂(プシュケー)と呼び、生まれたときに魂が入る器を体(ソーマ)と呼びます。これまでの記事での三元論の体と魂もここから始まっています。

物理的世界と心理的世界

 プラトンより前の哲学者にパルメニデスという人がいます。パルメニデスが問題提起したのは本当に存在するなら無くなることはないんじゃないかということです。例えば四角形を2つに切って三角形2つにすることができますが、そうすると元々の四角形は無くなってしまいます。存在するものが無くなってしまったり、なかったものが現れたりするのはおかしいと考えたのです。

 この考え方はプラトンに影響を与えました。人間が世界を見たとき、あるものが無くなったり、無いものが現れたりしているように見えます。これは感覚によって認識できる世界です。一方、この世界とは別に絶対に無くなることのない存在の世界があります。この二つの世界があるというプラトンの考え方が物心二元論の始まりです。

新プラトン主義

 プラトンから五世紀の時が流れ、プラトンの考え方を受け継ぐプロティノスという哲学者が現れました。プロティノスは世界はどのように生まれたのかについて考えました。存在するものが常にあり続ける世界と物質が変化していく世界があるとするなら、その始まりは最初から最後まで存在し続けるもの、イデアであるはずです。このイデアを一者と呼び、一者からイデア、魂、物質が流れ出るという説を流出説と言います。ここで言う一者というのは、簡単に言えば世界を作った存在です。なのでユダヤ教やキリスト教、イスラム教などのアブラハム宗教に伝わると、一者は善のイデアとして唯一神ヤハウェと同一視されることになります。

グノーシス主義

 新プラトン主義はイデア論とアブラハム宗教から世界は善のイデアから生まれたという考えに至りました。一方でイデア論とアブラハム宗教から世界は悪のイデアから生まれたという考え方に至る主張もあります。これがグノーシス主義です。問題提起としては善の神が作った世界になぜ悪が存在するのかというものです。神が善のイデアなら、この世には悪は存在しないはずです。つまり、この世界(物質の世界)を作った神は悪のイデアだと考えるのです。しかし、人間は悪を思い出すのと同様に善を思い出すこともできます。つまり善のイデアは存在するはずで、それこそ真の神と呼ぶにふさわしいものです。

 このような考え方から物質の世界を悪の神が創造した偽の世界、イデアの世界を善の神が創造した真の世界であるとしました。救われるためには見えている世界ではなく、知性によって得られる真の世界の神を信じなければならないのです。もちろんそんな考え方はアブラハム宗教にとって神を冒涜する異端信仰なわけですが、このグノーシス主義は魔法と呼ばれるものの思想の一角になります。

魔法の世界へ

 ここまでプラトンの哲学と、そこから生まれた新プラトン主義グノーシス主義を紹介しました。これらがどのような魔術を生むのかということについて別の記事で紹介したいと思います。

『魔法の基本はプラトンから?』へのコメント

  1. 名前:佐和山の侍 投稿日:2018/01/15(月) 10:29:16 ID:7b7511695 返信

    ベルセルクに似たような話が出てくるな。これに関してエーテル体とかアストラル体とか三位一体とかあるんだがこれについてだれか書いてくれないだろうか。一応自分でも本を買うつもりだが

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