不老不死・未来予知・人造人間!

 こんにちは、沙耶です。前回の記事では一部の魔法の根本となるプラトン哲学とその派生を紹介しました。今回は新プラトン主義やグノーシス主義から生まれ魔術に伝わったヘルメス主義カバラを紹介します。

ヘルメス主義

 ヘルメス主義とは、新プラトン主義やグノーシス主義の中で書かれたヘルメス文書の哲学です。新プラトン主義のように一者である神から万物が流出したとし、グノーシス主義のように物質的な世界にいない真の神を知覚することで救われるという哲学です。この文書を書いたとされるヘルメスという人物は錬金術を始めたことで知られている伝説の人物ですが、実在したのかは明らかではありません。しかし、ヘルメス主義そのものは多くの魔術、占い、科学など現代に影響する様々な体系の根幹となりました。

錬金術

 ヘルメスが始めた錬金術はその名の通り金を作り出す方法のことですが、その過程で重要となるのが賢者の石です。賢者の石とは鉄や亜鉛などの卑金属を金に変える力を持っていて、人間を不老不死にすることもできます。

 また、錬金術は物質の変化を研究する学問でもあります。魔術師であり医者でもあったパラケルススは、錬金術の理論を応用して人造人間ホムンクルスを作ったとされています。

占星術

 現代では星占いとして広まっている占星術ですが、その始まりは上のものは下のものに似ているというヘルメスの哲学にあります。つまり、星の動きは地上の現象に関連があるということです。これによってホロスコープと呼ばれる星の位置を調べる図を用いることで、未来を予言することができます。

カバラ

画像元:月海月~似非絵講座~

 カバラとは、ユダヤ教に聖書とは別に伝わるもうひとつの教えです。この世には聖書には載らなかった隠された真理が存在し、これが最初の人間であるアダムから口伝えで伝わったとされます。ユダヤ教指導者たちがその隠された真理を解き明かす過程で新プラトン主義が密接に関係してきます。

セフィロート体系

 カバラの魔術体系のシンボルとして有名なセフィロートの木があります。これは神の性質を示す10個の要素と、要素と要素の間をつなぐ22の道から成り立っています。22の道はユダヤ人が使う文字である22個のヘブライ文字に対応していて、近代魔術師のエリファス・レヴィはこの22の道をタロットカードの大アルカナ22枚に対応させて考えています。

 新プラトン主義から影響を受け、神の性質を示す10個の要素は一者である神から流出したものだと考えます。

数秘術

 ヘブライ文字には数価というものがあり、一つ一つの文字に数が割り振られています。この数の合計がそのものの本質を示しているという数秘術の考え方がカバラにあります。

 ユダヤ教においてヘブライ語は神が預言するときに使う神聖な言葉です。つまり全てのものはヘブライ文字22個の組み合わせによって表されることになります。だからヘブライ文字を研究することによって隠された真理を解読することができると考えたのです。

ゴーレム

 聖書の創世記において、神は泥人形に命を吹き込んでアダムを作りました。それと同じように泥人形に命を吹き込んだものがゴーレムです。カバラを知るユダヤ人哲学者たちの中にはゴーレムを作り使役していたとされる人もいます。有名なのはアヴィケブロンで、新プラトン主義の哲学者でした。

近代魔術へ

 ユダヤ教カバラはキリスト教文化圏に伝わりキリスト教カバラとなります。しかし、ユダヤ教カバラは宗教指導者が研究していたのに対してキリスト教カバラは一般人が研究をしていました。協会からすればカバラは聖書と異なる教えを信じる異端となります。ヘルメス主義もグノーシス的な思想だったので、存在するものが存在し続ける真理の世界を追い求めていました。しかし、この世界が偽の世界だというのも異端の思想です。これらに加えてキリスト教が広まる前のシャーマニズムアニミズムと言った魔女の元となる宗教も規制が大きくなります。こうしてキリスト教カトリックが頂点に立ち魔法が規制される中世へ突入するのです。

 文化復興運動ルネサンスが起こり、復興した近世西洋魔術については別の記事で紹介したいと思います。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。