時間は絶対的じゃない!

 こんにちは、沙耶です。前回の記事ではニュートンを始めとしたユークリッド幾何学が基盤の時間の概念を紹介しました。しかし科学が進歩して観測できるものが増えると、絶対時間では説明のつかない現象があることが判明したのです。今回はユークリッド幾何学以外の幾何学が発見された後の科学の時間感を紹介します。

ファラデー・マクスウェルの方程式

 ニュートン力学は科学の進歩を促しましたが、そのニュートンでも曖昧だった光の問題が科学をさらに進歩させます。ファラデーが電気と磁気の関係について実験を繰り返し電磁場理論を完成させると、マクスウェルがそれを4つの方程式にまとめました。そして、その方程式によるとある状況下では電気と磁気の波(電磁波)が発生すること、電磁波の伝わる速さは見る人によらず一定であることが分かりました。

 ガリレイの相対性原理によると、物体の運動速度は見ている人の動く速さの分だけ遅く見えるのでした。つまり、電磁波の伝わる速さが一定というファラデー・マクスウェルの方程式はニュートン力学と矛盾します。この問題を解決したのがガリレイ変換に変わる新しい座標変換であるローレンツ変換です。

ローレンツ変換

 詳しい式や導出は過去の記事に書きましたが、ローレンツ変換という光速が見る人によって変わらないような座標変換が考えました。これによると、速く動いている人は時間の流れが遅くなります。つまり、見る人によって時間の流れすら変わることが分かったのです。

 例えばAさんとBさんが2m離れていたとして、二人の間に電球を置いたとします。この電球が光ったとき、この2人に対して静止している人にとっては2人の光が見える時間は同じです。距離が同じで光速も同じなので時間も同じですね。しかし、Aさん側からBさん側へ動いている人にとっては、Aさんが電球から離れていくように見え、Bさんが電球に近づいているように見えるので、Bさんの方が光が見えるのが速いことになります。つまり、見る人によって同時の現象が同時でない現象になったりするのです。

アインシュタインの相対性理論

 アインシュタインはローレンツ変換を使ってユークリッド幾何学によらない力学を提唱しました。これが特殊相対性理論です。詳しい内容は過去の記事に書いたので参考にしてください。

 また、アインシュタインはそれ以外にも重力の問題について考えました。ニュートン力学においては重力はお互いの重さに比例するので、重さがない光は重力に引かれることはないはずです。しかし実際には光は重力に引っ張られて軌道が曲がります。これを説明するためにはユークリッド幾何学の5つのルールに捕らわれない新しい幾何学が必要になるのですが、運のいいことにアインシュタインは20世紀の物理学者です。その頃にはユークリッド幾何学の5つのルールを破った幾何学が研究されていたのです。

非ユークリッド幾何学

 アインシュタインより少し前の19世紀、ユークリッド幾何学の5つのルールのうち平行線は交わらないというルールを破った幾何学は矛盾が起こらないことが数学者のボーヤイによって発見されました。その後、ロバチェフスキーがそれぞれ一点を通る平行線が複数ある幾何学が矛盾なく存在することを発見し、リーマンは平行線が存在しない幾何学が矛盾なく存在することを発見しました。

 平行線が存在しない幾何学と言われてもイメージしづらいかもしれませんが、球面上の幾何学だとイメージすればわかりやすいです。地球上において経線は全て赤道に直角に交わっているので平行線のように見えますが、実は北極点と南極点で交わっています。また、経線は直線ではないように思えますが、直線とは2点を最短距離で結ぶ線のことで非ユークリッド幾何学では曲がって見える直線も存在します。これが時空が歪んでいると言われる所以です。

 非ユークリッド幾何学、特にリーマン幾何学はアインシュタインの相対性理論において重要な役割を果たします。例えば光は直線的に進んでいきます。しかし、大きな重力に引っ張られることも知られています。これをアインシュタインは光の軌道が曲がっているのではなく、時空の方が曲がっているのだと考えました。つまり、大きな質量のある場所の周りでは時空が大きく歪み、それによって引っ張られるということです。これが一般相対性理論です。一般相対性理論によると、強い重力の中では時間の流れが遅くなります。

時間とは何か

 ニュートンが言ったように時間は一様に流れるというのが感覚的な時間感です。しかし、現在の物理学ではそれでは説明できない現象が出てきました。なのでリーマン幾何学の時間を使っていますが、それは果たしてこの世界を説明する唯一の方法なのかと言えば、断言するのが難しくなります。実際、日常的に使う意味での時間は存在しないという物理学者もいます。そんな時間とは何かという問題に物理学者の観点から解決しようとした人たちを別の記事で紹介したいと思います。

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